
財布やバッグ、革靴、手帳カバーなどを買うとき、「これって本革?合皮?どっちが良いの?」と迷った経験はありませんか。
お店で商品説明を読んでも、“牛革”“PU”“PVC”“合成皮革”など専門用語が多く、結局どう違うのかよく分からないまま選んでしまう方も少なくありません。
しかし本革と合皮は、「見た目」「触り心地」「寿命」「値段」までハッキリ性格が分かれています。
見分け方を知るだけで、買い物の失敗は大きく減らせます。
などを、専門的な内容をやさしい言葉と例えを交えて解説します。
この記事を読み終わる頃には、革製品を手に取った瞬間に「これは本革だな」「こっちは合皮だ」と判断できるレベルに近づくはずです。
本革と合皮は何が違う?
革製品を選ぶとき、一番最初に押さえておきたいのは「本革」と「合皮(ごうひ)」が見た目は似ていても根本的に別物だという点です。
ここを理解すると、耐久性や手入れ、価格の違い、そして“買って後悔しない選び方”がすっと腑に落ちます。
【本革】動物の命から生まれた天然素材
本革は牛・豚・羊・馬など動物の皮を鞣(なめ)して加工した天然素材です。
皮を腐敗しない、丈夫で柔軟な「革」に変えるための工程を指します。
例えるなら、生野菜を長期保存できる「漬物」にする工程に似ています。
主に植物由来のタンニン剤を使う「タンニン鞣し」や、化学薬品を使う「クロム鞣し」などがあり、どの鞣し方法を選ぶかで革の風合いや寿命が変わってきます。
木の年輪や大理石の模様のように、ひとつひとつに個体差があり“世界に一つだけ”の表情が生まれます。
使い込むほどに色ツヤが変わり、手になじんでいく「エイジング(育つ楽しみ)」が最大の魅力です。

本革のイメージを身近な例で言うと、良い無垢材の家具です。
最初は堅く見えても、使うほど味が出て手ざわりが良くなり、長く使えるほど愛着が湧きます。
ただし天然素材ゆえに水や直射日光、誤った保管でダメージを受けやすく、定期的なケアが必要です。
合皮(合成皮革)とは — 工場で作る“再現された革”
合皮は布や基材の上にポリウレタン(PU)やポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂をコーティングして作る人工素材です。
ポリウレタン(PU): 柔らかく本革に似た質感だが、湿気で数年以内にひび割れる(加水分解)が最大の弱点です。
ポリ塩化ビニル(PVC): 硬くて丈夫で水に強いが、通気性がなくビニール感が強いのが特徴です。

工場で均一に製造できるため、色や模様が綺麗に揃い、価格が安く大量生産に向いています。
ファッション性や軽さ、メンテナンスのしやすさが魅力で、トレンド商品や手軽に取り入れたいアイテムに多く使われます。
合皮を例えると、合板に塗装を施した家具のようなものです。
見た目は本物に近づけられますが、構造的には人工素材の層でできており、長期間使うと表面が剥がれたりベタついたりすることがあります。
特にPUは「加水分解」と呼ばれる現象で劣化しやすく、保管環境に左右される点は注意が必要です。
本革と合皮、最初に覚えるべき違い
本革と合皮はパッと見では似ていますが、根本となる「素材の構造」「経年変化」「耐久性」「価格」「メンテナンス」に明確な違いがあります。
ここを押さえておくだけで、初めて革製品を買う人でも“失敗しない判断”ができるようになります。
| 項目 | 本革 | 合皮 |
|---|---|---|
| 素材 | 天然(動物の皮) | 人工(樹脂+布) |
| 経年変化 | 味が出る(育つ) | 劣化する(剥がれ・ベタつき) |
| 耐久性 | 長く使える | 加水分解で寿命が来る |
| 質感 | 温かく手になじむ | 均一・人工的 |
| 匂い | 革特有 | 樹脂の匂い |
| メンテナンス | 要手入れ | 基本不要 |
| 価格 | 高め | 安い |
【簡単】誰でもできる!本革と合皮を見分けるプロのワザ5選
「これ、本革かな?それとも合皮かな?」
お店でバッグや財布を選ぶとき、見た目だけでは区別がつかず、迷ってしまうことはありませんか?
本革と合皮は、価格はもちろん、寿命や使うほどに増す「味わい」に天と地ほどの差があります。
なぜ見分け方が重要なのか?(寿命と価値の違い)
製品を「本革」か「合皮」か正しく見分けることは、単なる好みの問題ではありません。
寿命(耐久性)・維持費・所有体験・資産価値(中古での売却や贈答価値)に直結するため、購入前・保管中・売却時の判断に大きな影響を与えます。
本革と合皮は、時間の経過とともに全く異なる変化を遂げます。
つまり、見分け方を知ることは、製品の本当の価値と寿命を見抜くことにつながるのです。
【実践編】誰でも簡単にできる見分け方5選
タグ表示がない場合や、より深く素材の真偽を見極めたいときに役立つ、プロが使うテクニックを具体的なアクションとともに解説します。
最も確実!「断面(コバ)」を見てみる
これが最も信頼できるチェックポイントです。
製品の端や、ベルトの穴、バッグの持ち手の切り口など、革の断面が露出している部分を観察してください。

本革の場合は繊維が複雑に絡み合った層になっており、毛羽立っていたり、不均一な厚みが見えます。
まるでミルフィーユのように見えます。
一方、合皮の場合は 土台の布地(芯材)と、その上を覆う均一な樹脂の層が、まるできっちり二層に分かれているのが確認できます。
嗅覚で見極める!「におい」を嗅いでみる
素材の組成はにおいに正直に現れます。
革には「素材そのもの」のにおい(動物性の脂やなめし剤の香り)があり、合皮は「化学物質(樹脂・接着剤・可塑剤など)」のにおいが目立ちます。
においは視覚でわかりにくい違いを補ってくれる強力な手段です。
においに敏感な人とそうでない人がいるため、他の見分け方(断面、触感、価格、表示)と併用するのが安全です。
触って確かめる!「表面の質感と毛穴」をチェック
本革と合皮を見分けるうえで一番手軽なのが“触って確かめる”方法です。
手のひらで包むように触って温度や馴染み方を確かめたあと、指先で表面をなぞり凹凸や滑りを確認し、最後に押したり軽く引っ張ったりすると判断がしやすくなります。
本革は触れた瞬間にしっとりと温かみがあり、押すとふっくら沈んで自然に戻る柔らかい反応が感じられ、毛穴やシボが不規則に並んでいるため触ったときにも“自然な揺らぎ”が手に伝わります。

逆に合皮は均一でひんやりした質感を感じることが多く、押しても反応が弱かったり、毛穴が規則的に並ぶかそもそも見えないなど人工的な均一さが手触りに出やすい素材です。
ただ、本革でもコーティングされて表面がツルッとしたものや、合皮でも本革そっくりに型押しされた商品があるため触るだけで判断できないこともあり、匂いや断面、素材表記など複数の視点を組み合わせると精度が上がります。
もし判断に自信がない場合は店員や専門店に確認すると安心です。
ネット購入なら返品条件を確認してから買うとリスクが少なく、写真や拡大画像を使って毛穴の違いを見せるなどの工夫があれば初心者にも理解しやすくなります。
表面を指で軽く触り、じっくり見てみましょう。
天然素材と人工素材の決定的な違いがここにあります。
力を加える!「折り曲げたシワ」を見てみる
革を折り曲げてシワの出方を見る方法は、本革と合皮を見分けるうえでとても有効で、初心者でも違いをつかみやすいチェックポイントになります。
本革は折った瞬間に人の肌のような自然で深いシワが入り、シワの形が不規則に広がるため“生きた素材らしさ”がしっかり現れます。
さらに本革は、力を加えたあとにすぐ戻らず、ゆっくりと時間をかけて元の状態に近づいていく特徴があり、この“戻りの遅さ”が弾力や繊維の密度を感じさせるポイントになります。

これに対して合皮は、表面が均一な構造をしているため折り曲げても浅いシワしか出ず、形もどこか機械的で規則的に見えることが多く、折り跡がついてもすぐにパッと戻ってしまいます。
見分けに迷ったら、財布やバッグの角の部分など、目立たない場所をそっと折り曲げてシワの出方を確かめるだけでも大きなヒントになります。
本革か合皮か判断が難しい商品の場合でも、この方法を覚えておくと失敗がぐっと減りますし、購入前の安心材料にもつながります。
最終確認!「タグや表示」を確認する
本革と合皮を見分けるとき、もっとも確実な情報源になるのが“タグや素材表示”で、メーカーや販売店が義務として明記していることが多いため、最初に確認しておくと判断の迷いが一気に減ります。
表示には「牛革・羊革・豚革」など具体的な動物名が書かれることもあり、一方で合皮の場合は「PU(ポリウレタン)」「PVC(塩化ビニール)」など人工素材の名称が入ります。
なお、本革でもスプリットレザー(床革)など加工を施した素材だと“革ではあるがランクが異なる”場合があり、同じ本革でも表記によって品質の目安が分かります。
さらに輸入品やファッションブランドの場合、内部タグにのみ記載されていて外から見えないこともありますので、商品を手に取ったら内ポケットや裏面なども軽くチェックすると間違いがありません。
もし表示が見当たらない場合は、オンラインショップの商品ページや説明文を確認する方法があり、素材が書かれていない商品は“本革の自信がない可能性”もあるため慎重に判断すると失敗しにくくなります。
徹底比較!本革と合皮のメリット・デメリット

本革と合皮は「優劣」ではなく「特性」の違いです。
どちらを選ぶかは、目的、予算、そしてライフスタイルによって決まります。
それぞれの素材が持つ長所と短所を深く理解し、賢い選択をしましょう。
| 項目 | 本革 | 合皮(PU/PVCなど) |
|---|---|---|
| 見た目の深み | ◯(質感が豊かで高級感が出やすい) | △(均一で綺麗だが深みが出にくい) |
| 経年変化 | ◯(エイジングで育つ) | ×(劣化しやすく寿命が短い) |
| 耐久性 | ◯(手入れ次第で長持ち) | △〜×(PUは短命/PVCはやや強い) |
| お手入れの楽さ | △(定期ケアが必要) | ◯(拭くだけでOK) |
| 価格帯 | △(高価になりがち) | ◯(手頃で選びやすい) |
| 修理のしやすさ | ◯(補修・染め直しが可能) | ×(剥離はほぼ修復不可) |
| 重さ | △(やや重め) | ◯(軽くて扱いやすい) |
| 防水性 | △(水に弱い) | ◯(PVCは高い防水性) |
| 環境への配慮 | △(長く使える点は良い) | △(動物素材不使用だが廃棄負荷あり) |
本革のメリットとデメリット
本革のメリット
本革は単なる素材ではなく、「育てる喜び」と「高い耐久性」を兼ね備えた、所有する価値のある素材です。
| メリット | 特徴(詳細な解説) |
|---|---|
| ① 圧倒的な耐久性と長寿命 | 動物の天然繊維が複雑に絡み合っているため、非常に頑丈で引き裂き強度が高いです。 適切にお手入れすれば、数十年以上使用できる「一生モノ」の素材となります。 |
| ② 独自の経年変化(エイジング) | 最大の魅力です。使い込むほどに色が深まり、ツヤが増し、所有者固有のシワや風合いが生まれます。 これは合皮にはない、本革だけの「育てる喜び」です。 |
| ③ 優れた通気性と吸湿性 | 生き物の皮膚であった名残で、湿気を吸って外に逃がす「呼吸する」性質を持っています。 これにより、靴やバッグの中でも蒸れにくく、快適に使用できます。 |
| ④ 唯一無二の質感と温かみ | 合皮のような均一な冷たさがなく、触れた瞬間にしっとりとした温かみを感じられます。 また、毛穴やシワ(トラ)などの不規則な模様が、本物ならではの高級感を醸し出します。 |
| ⑤ 修理・再生が可能 | 構造がしっかりしているため、傷や擦れをクリームで目立たなくしたり、 専門の職人による修理、染め直し(リカラー)などで再生させることができます。 |
本革が長きにわたって愛され、選ばれ続ける理由は、その機能性と情緒的な価値の両方にあります。
合皮のような一時的な安価さや手軽さはありませんが、本革には「使えば使うほど美しくなる」という他の素材にはない魅力があります。
耐久性、通気性、そして独特のエイジングは、単なる製品を「人生を共にする相棒」へと昇華させてくれるのです。
本革のデメリット
本革はその魅力の反面、天然素材ゆえの特性や、高価な加工工程によっていくつかのデメリットが存在します。
購入前にこれらの欠点を理解しておくことが重要です。
| デメリット | 特徴(詳細な解説) |
|---|---|
| ① 価格が高い | 原料となる皮の確保や、専門的な「鞣し(なめし)」工程に時間と職人の技術、 コストがかかるため、合皮と比較して販売価格が高くなります。 |
| ② 定期的なお手入れが必要 | 乾燥すると硬化したりひび割れたりするため、 人間の肌と同じく定期的な保湿ケア(クリームやオイルの塗布)が欠かせません。 このメンテナンスの手間を面倒に感じる方もいます。 |
| ③ 水濡れに弱い | 水分を吸い込みやすい性質があり、雨や飲み物などで濡れるとシミや水ぶくれの原因になりやすいです。 濡れた後の手早い対応と陰干しが必要になります。 |
| ④ 重さがある | 繊維密度が高いため、特に大きなバッグやコートなどの製品は、 合皮製品に比べて重さを感じやすい傾向があります。 |
| ⑤ 傷がつきやすい | 合皮の樹脂コーティングと異なり、表面が柔らかいため、 爪や硬いものに触れると傷(スクラッチ)がつきやすいです。 ただし、これもエイジングの一部として楽しむ見方もあります。 |
| ⑥ 色落ち・色移りの可能性 | 染料仕上げ(顔料を使わず革の風合いを活かした染め方)の革は、 水濡れや摩擦によって色が落ち、衣類などに色移りする可能性があります。 |
本革のデメリットの多くは、「天然素材ゆえの繊細さ」と「手間やコスト」に集約されます。
たしかに合皮のように安価で手軽に使えるわけではなく、水濡れへの注意や定期的にお手入れをする手間はかかります。
しかし、これらのデメリットは裏を返せば、「長く使うためのルール」と言い換えられます。
合皮のメリットとデメリット
合皮のメリット
合皮の最大の魅力は、その手軽さと実用性の高さにあります。
安価であるため、トレンドに合わせて気軽に買い替えたり、短期間だけ使いたいアイテムに最適です。
| メリット | 特徴(詳細な解説) |
|---|---|
| ① 安価で手に入りやすい | 石油由来の素材で大量生産が可能なため、本革に比べて製造コストが低く、 非常に手頃な価格で購入できます。 |
| ② 水濡れに強くお手入れが簡単 | 表面が樹脂でコーティングされているため、水を弾きます。 雨に強く、汚れも固く絞った布でサッと拭き取るだけで済みます。 |
| ③ 軽量で扱いやすい | 本革よりも繊維密度が低いため、全体的に軽く仕上がります。 特に大きなバッグやコートなどの製品で、その軽さが活かされます。 |
| ④ 色やデザインの自由度が高い | 樹脂を着色し、自由に型押しできるため、鮮やかな色や光沢など、 本革では難しい多彩なデザインを実現できます。 |
| ⑤ 品質が均一 | 工業製品であるため、製品ごとの品質や風合いにムラがなく、 常に安定した状態で手に入ります。 |
水を弾く性質とメンテナンスの容易さから、雨の日用のバッグや、汚れやすい子どもの持ち物、お手入れが難しい大型家具などにも向いています。
本革のような「育てる楽しみ」はありませんが、「手間をかけずに気兼ねなく使う」という点においては、合皮は非常に優れた素材と言えるでしょう。
合皮のデメリット
合皮は手軽さが魅力ですが、化学素材であるゆえの避けられない弱点があります。
特に寿命の短さは、購入前に必ず理解しておくべき点です。
| デメリット | 特徴(詳細な解説) |
|---|---|
| ① 寿命が短い(経時劣化) | 主成分のポリウレタン(PU)樹脂が空気中の湿気で分解される「加水分解」を起こし、 使用期間に関わらず数年でひび割れたり、ベタついたり、剥がれたりします。 |
| ② 経年変化がなく「劣化」するのみ | 本革のようなツヤが増す「エイジング」の楽しみがありません。 時間が経つと美しくなるのではなく、硬くなったり、色が変わったりという形で劣化が進みます。 |
| ③ 通気性が低い | 表面が樹脂膜で完全に覆われているため、湿気を通しません。 靴やソファ、ジャケットなどで使用すると、内部が蒸れやすく不快に感じることがあります。 |
| ④ 熱に弱い | 合成樹脂が主成分のため、高温の場所に放置したり、 摩擦熱が加わったりすると、変形したり溶けたりする可能性があります。 特にタバコの火などには極端に弱いです。 |
| ⑤ 質感に深みがない | 表面のシワや毛穴が型押しによる規則的なパターンであるため、 本革のような不規則で自然な深みや温かみを感じることは難しいです。 |
| ⑥ 一度傷むと修復が難しい | 表面の樹脂が剥がれたりひび割れたりした場合、 本革のようにクリームなどで補修することができず、基本的に元に戻すことは不可能です。 |
最大の弱点は「加水分解」、湿気や熱によって、表面がベタつく・剥がれるなどの劣化が起こります。
【加水分解とは?】
加水分解とは、空気中の水分とバッグのコーティングに使われている加工剤が化学反応を起こした状態です。加水分解かおこることで、バックや財布がベタベタになったり、表面のコーティングや色が落ちてしまう要因となります。
革修復どっとコム
安価で水に強いというメリットと引き換えに、「いつか必ず寿命が来てしまう消耗品」であるという点を認識しておくことが大切です。
本革と合皮はどっちが良い?用途別おすすめ

本革と合皮のどちらが優れているか、という問いに絶対的な答えはありません。
なぜなら、それぞれの素材には決定的な長所と短所があり、使う人の「目的」や「求める価値」によって最適な答えが変わるからです。
ここでは、具体的な用途別に、本革と合皮のどちらを選ぶべきか、その理由と共におすすめします。
ビジネス・通勤用アイテム(バッグ、靴、ベルト)
ビジネスシーンで使うアイテムは、耐久性だけでなく信頼感やプロフェッショナルな印象にも直結します。
長時間の使用に耐え、あなたの価値を高める素材を選ぶことが重要です。
| 用途 | おすすめ素材 | 理由と選び方のポイント |
|---|---|---|
| ビジネスバッグ | 本革 (丈夫な牛革) | 信頼性と耐久性を重視すべきアイテムです 本革は数年で劣化せず、商談の場などで信頼感のある質感を演出します。 傷がつきにくい型押し革や、耐久性の高いステアハイドがおすすめです。 |
| ビジネスシューズ | 本革 (牛革) | 通気性が非常に重要です。 本革は湿気を逃がすため、長時間履いても蒸れにくく、革靴としての寿命も長くなります。 合皮は蒸れやすく、匂いの原因になりやすいです。 |
| ベルト | 本革 | 耐久性とエイジングを楽しめるためです。 合皮ベルトは曲げ伸ばしが多い部分がすぐにひび割れてしまうため、 短期間で買い替えが必要になります。 |
合皮は安価ですが、重要な商談の場で表面が剥がれていたり、靴が蒸れて不快な思いをしたりするリスクがあります。
したがって、人に見られる機会が多いバッグ、靴、ベルトなどのビジネスアイテムには、長く使え、信頼感を演出できる本革を強くおすすめします。
ファッション・プライベートアイテム
プライベートで使うファッションアイテムは、価格やトレンド、そして個人の愛着が選択の決め手となります。
使用頻度や求める楽しみに合わせて素材を選ぶことが重要です。
| 用途 | おすすめ素材 | 理由と選び方のポイント |
|---|---|---|
| 財布・キーケース | 本革 | 毎日触れるものだからこそ、エイジングを楽しめる本革が最適です。 手の油が染み込み、使い込むほどに手に馴染む唯一無二の質感は本革でしか味わえません。 |
| トレンドのバッグ | 合皮 | 流行のデザインや鮮やかな色など、短期間(数シーズン)で 買い替えを前提とするなら安価な合皮が最適です。 水濡れを気にせず使える手軽さも魅力です。 |
| ライダースジャケット | 本革 | 本革は防風性や耐久性が高く、着るほどに体に馴染み、 独特のシワ(着ジワ)が刻まれます。本物の重厚感と長寿命を求めるなら本革一択です。 |
毎日触れて「育てたい」、長く愛着を持って「自分のものにしたい」と考える財布やジャケットは本革が最適です。
一方で、トレンドを追って短期間で気軽に楽しみたいバッグや小物には、価格が安く水に強い合皮を選ぶのが賢い方法と言えます。
大型・消耗を想定するアイテム
ソファや家具、頻繁に買い替えが必要な消耗品では、初期費用やメンテナンスの容易さが重要な判断基準となります。
特に耐久年数を考慮して選ぶことが賢明です。
| 用途 | おすすめ素材 | 理由と選び方のポイント |
|---|---|---|
| リビングのソファ | 本革 (特におすすめ) | 座り心地(通気性)と耐久性を重視するなら本革です。 合皮は蒸れやすく、数年で必ず表面が割れてくるため、 長期的なコストで考えると本革の方が有利な場合が多いです。 |
| ダイニングチェア | 合皮 | 食べこぼしなど、頻繁に水拭きをする必要がある場合は、水に強い合皮が実用的です。 ただし、耐久性より手軽さを優先する場合に限ります。 |
| スマホケース | 合皮 | 消耗が激しく、頻繁に買い替えることを前提とするなら合皮で十分です。 本革のエイジングを楽しむのも良いですが、価格を抑えられます。 |
| リュックサック(一部) | 合皮 | 撥水性が求められるアウトドアや雨天時の使用がメインであれば、 合皮やナイロンとの組み合わせが実用的です。 |
ソファのように長く使うものは、合皮が数年でひび割れて買い替えになるリスクを考慮すると、耐久性が高く、座り心地も快適な本革の方が結果的に安くなることが多いです。
一方で、汚れやすく消耗が前提のダイニングチェアやスマホケースなどには、安価で手入れの簡単な合皮を割り切って選ぶのが現実的でしょう。
本革を長く使うための基本ケア

本革は適切なケアを施すことで、その寿命が劇的に延び、より美しい経年変化(エイジング)を楽しめます。
ここでは、「購入直後」「日常」「定期」の3つのステップで必要な基本ケアを解説します。
本革製品を長く美しく愛用するためには、適切なタイミングで「予防」「維持」「回復」の3ステップのケアを行うことが非常に重要です。
まず購入直後に防水と保湿で革を守り(準備)、日常ではホコリを払う習慣をつけ、万が一水に濡れた際はすぐに拭き取り陰干しします(維持)。

そして月1回程度の定期的なクリーニングと本格保湿で革に栄養を与え(回復)、美しいエイジングを促しましょう。
この簡単なステップを実践するだけで、革の寿命は格段に延びます。
詳しいケア用品の選び方や手順については、以下の記事も参考にしてください。
自分で手入れができない!プロに任せるメリット
自分で本革の手入れができない、時間がない、または大きなシミや傷ができてしまった場合は、無理せずプロのサービスを利用するのが最も賢明な方法です。
自己流で対処して悪化させる前に、専門の技術に頼ることで、大切な革製品の寿命を確実に延ばすことができます。
自分で手入れが難しいと感じたら、大切な革製品を守るために、無理せずプロに頼ることも「長く使う」ための重要な戦略です。
もし「自宅でどこまでケアできるか不安」といった疑問をお持ちでしたら、おすすめの革専用クリーニ具について以下の記事で詳しく解説しています。
自分で調べる自信がない場合はどうすればいい?
本革と合皮の見分けはコツを覚えれば難しくありませんが、始めのうちは不安になるものです。
特に高価な革財布やビジネスバッグなどは、間違えると後悔も大きくなります。
自信がない場合は、次の方法を使えば「確実性の高い判別」ができます。
ショップやブランドにそのまま確認する
購入前なら、商品ページの素材欄を見るのが一番確実です。
「牛革」「本革」「カーフレザー」などと明記されていれば天然皮革で、「PUレザー」「合成皮革」「フェイクレザー」と書かれていれば人工素材です。
もし記載が曖昧なら、問い合わせフォームで聞けば丁寧に答えてくれるブランドも多いです。
店頭で店員さんに判断してもらう
リアル店舗で買うなら、スタッフに確認するのが最速で確実です
革製品を多く扱う店なら、毎日商品を触っているため、知識も経験も豊富。
「自分で触って判断するよりもミスが少ない」というメリットがあります。
革専門店・修理店に持ち込んで診てもらう
すでに持っているものなら、革修理店や靴磨き店に持ち込むのも選択肢です。
革の専門職人は、手触り・シワ・匂い・加工などで即座に見分けることが可能。
「この革の種類」「どんな手入れが合うか」まで教えてくれることもあります。
口コミやレビューで経験者の意見をチェック
ネットで買う場合、素材表記だけでは不安になることもあります。
そんな時は、Amazonや楽天などのレビューを見ると、購入者が
- 触り心地
- 見た目の高級感
- 劣化の具合
などを詳しく書いていることが多く、かなり参考になります。
迷ったら価格帯もヒントになる
価格も判断材料です。
次の価格帯は、一般的な相場として覚えておくと便利です。
| 商品ジャンル | 合皮が多い価格帯 | 本革が多い価格帯 |
|---|---|---|
| 財布 | 〜5,000円 | 8,000〜30,000円 |
| ビジネスバッグ | 〜10,000円 | 20,000〜70,000円 |
安い=ダメとは限りませんが、判断材料に使うことでミスを減らせます。
判別が難しい場合は無理に見分けようとしない
最近は合皮の品質がかなり向上しており、「プロでも触っただけでは判断が難しい」というレベルの商品も増えています。
そんなときは、
- 使う用途
- 耐久性
- 見た目
- 価格
などで、自分に合う選択をする方が賢い場合もあります。
よくある質問(FAQ)
ここでは、初心者の方が特に知っておきたい、製品の寿命やケアに関するよくある質問について、一つひとつ分かりやすくお答えします。
疑問を解消して、安心して製品を選びましょう。
- Q合皮の「PU」と「PVC」は、どちらの方が長持ちしますか?
- A
一般的に、PVC(ポリ塩化ビニル)の方が長持ちする傾向にあります。
PU(ポリウレタン)は柔軟性が高く、本革に近いソフトな質感を持ちますが、空気中の湿気により徐々に分解される「加水分解」を起こすため、どんなに大切に扱っても平均数年で表面がひび割れて剥がれてしまう宿命にあります。
一方、PVCは硬いプラスチック素材のため、PUのような急激な剥離は起こりにくく、耐久性が高いとされています。ただし、PVCは通気性が非常に悪く、硬化しやすいという弱点があります。
- Q本革が「雨に濡れてシミ」になってしまったら、どうすればいいですか?
- A
濡れた直後であれば、「すぐに拭き取る」ことが最重要です。
乾いた柔らかい布やティッシュで、濡れた部分の水を叩くように優しく吸い取ります。
絶対にゴシゴシと擦らないでください。
その後は風通しの良い日陰で、型崩れしないように形を整えて自然乾燥させます。
ドライヤーや直射日光は革を急激に乾燥させ、硬化・変形させる原因になるため厳禁です。
- Q「スプリットレザー(床革)」は本革ですか?ランクは高いですか?
- A
スプリットレザー(床革)は、本革(天然皮革)の一種ですが、ランクは最も低い部類に入ります。
動物の皮の表面(銀面)を削ぎ落とし、その下層部分(床革)だけを使ったものです。
強度や質感が弱いため、上からポリウレタンなどの樹脂を厚くコーティングして使われます。
見た目や手入れの仕方は合皮に近くなりますが、革の繊維質を芯材に使っているため、全くの人工素材である合皮よりも耐久性が高いとされています。
- Q合皮なのに“本革っぽいシワ”があるのはなぜ?
- A
型押し加工で本革の質感を再現しているためです。
本革の自然なシワを型で押し付け、リアルに見せているだけで、本物の毛穴や繊維はありません。
表面が均一で規則正しいなら、合皮の可能性が高いです。
まとめ
本記事では、本革と合皮の見分け方から、素材ごとのメリット・デメリットまで、初心者でもわかるように丁寧に解説しました。
素材選びは「知っているかどうか」で満足度が大きく変わります。
本革は耐久性や高級感を求める人に、合皮は軽さや価格重視の人に向いています。
どちらが良いかは用途次第ですが、特徴を理解しておくことで“後悔の少ない選択”ができるようになります。
また、本革はエイジングを楽しむ素材で、長く使える反面、ケアが必要です。
合皮は軽く扱いやすいものの、加水分解などの経年劣化が早めに訪れます。
それぞれのメリット・デメリットを知ることで、あなたのライフスタイルに合った最適な選択が可能になります。



